「AIと組織の未来」講座レポート
「AIと組織の未来」
Future Topics 第1回講座
これまで週末の鎌倉で開催されていた鎌倉サステナビリティ研究所の講座が、平日の夜、恵比寿で開催される、テーマは「Future Topics」と聞き、どんな内容なのかな、とわくわくしながら申し込んだ。
講師の鹿内氏は、起業家であり、データサイエンティストであり、脳の研究者であり・・・いろいろな顔を持つすごい方らしい。そして内容は、社会心理学の「信頼社会」から、STEM、データとお金の循環、リーンスタートアップ、そして、認知不協和、アンダーマイニング効果、報酬・期待誤差、やる気スイッチ・・・といろいろなキーワードが飛び出し、テンポ良くどんどん展開して、おもしろいなあと思っている頃にAIという言葉にたどり着いた。その多岐にわたる話は聞き飽きることなく、あっという間に終わりの時間となってしまった。参加者に「何に関心を持った?」と尋ねてみたらきっと、それぞれの興味にひっかかるところ、違う答えが返ってくるような、そんな時間だった。
今回、私が興味を持ったキーワードは、労働の起源、そして「コントラフリーローディング効果」だった。動物で実験をすると、ただで報酬をもらうのではなく、何らかの労働の結果で報酬をもらうこと(例えばネズミがレバーを押すとエサをもらえる)を選ぶという。そして人間では、小さな子供は同様の結果になるが、大きくなるにつれて、ただでもらうことを選ぶ人が増え、大学生くらいだと五分五分になるらしい。「労働自体がある意味報酬」ということが当てはまる人たちは確かに存在しそうだ。
鹿内氏に紹介された参考書、「安心社会から信頼社会へ‐日本型システムの行方」(山岸俊男著)を読んでみよう、と思いながら、帰宅の途に就いた。平日の夜、こんな時間があるのはいい刺激となる。
(食品会社勤務、H.K)
◆Future Topics 第1回講座 「AIと組織の未来」 6月18日(火)
■内容:
AI(人工知能)は組織の未来にどんなインパクトを与えるのでしょうか?AI技術の進展が仕事(職種)に及ぼすインパクト、すなわち、AIによって「消える仕事」「消えずに残る仕事」に関しては、専門家や研究者による議論が活発化していますが、AI技術の進化が「組織のあり方」にどのようなインパクトを及ぼすのかについては、あまり議論されていないのが現状です。しかし、AI技術の進化は、企業を含めた組織のあり方そのものに大きな影響を及ぼし、私達一人ひとりの働き方にも大きな影響を及ぼすと考えられます。例えば、近い未来、組織の集合的な知性を活かすために、AIがマネジャーとなり必要なときに必要な人をアサインするようになるかもしれません。そうなったときには、組織から階層が消えフラットなものになるでしょう。また、属性(性別・国籍など)のダイバーシティーだけでなく、経験・知識・スキルのダイバーシティがより重要視されてくるでしょう。人事領域のAI活用を模索されている鹿内さんをお迎えし、AIと組織の未来を考えます。
■講師
鹿内学|しかうちまなぶ さん
1980年、東京生まれ。2008年から京都大学などの研究機関で認知神経科学の基礎研究に従事( https://researchmap.jp/shika )。2015年よりビジネスに軸足をうつす。人材、組織、新しい働き方のデータサイエンスである「ピープルアナリティクス」にたずさわる。株式会社シンギュレイトを立ち上げ、次世代ピープルアナリティクスを目指し、群衆の知恵や集団的知性の研究開発をおこなう。シンギュレイトでのデータビジネスを通じて、既存の課題解決にとどまらず、新しいSocial Networkの構築を目指している。また、データビジネスは、社会と科学の円環を目指す手段でもあり、継続的な科学経営を模索している。奈良先端科学技術大学院大学 博士(理学)。漫画好き、サッカー好き。