第2回 Sustainability × 金融 / レポート 講師:北川哲雄教授 (青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 名誉教授)
前回と前々回の講座に参加して、サスティナビリティというものがなんとなく分かってきた…くらいの理解レベルであった私にとって、今回の「Sustainability × 金融 / レポート」というテーマは、ほぼ未知の世界でした。
事前課題(英国のESG投資家のAberdeen Standard Investmentsの英文レポートを読んでその感想を提出する)についても、久しぶりに英文の資料を読む機会となり、ネットの機械翻訳機能と英語辞書を駆使して何とか提出する…という状態でした。
そのような状態で参加した今回の講座は、青山ビジネススクール(ABS)の卒業生グループによる丁寧かつ熱のこもった発表から始まり、次に特別顧問の北川哲雄教授によるテーマの解説があり、最後に現在進行形で博士課程において研究をされている櫻井様の発表によって締めくくられました。総じて専門用語が多く少々難解ではありましたが、事後に事務局から配布された発表資料を見なおす作業と合わせれば、ほぼ内容を理解することができ、知見を広げることができて、非常に有意義であったと思います。
今回の講座の中で特に印象に残ったのは、北川哲雄教授によるテーマの解説のなかで、納税は社会貢献であるとして、租税回避(違法ではないが税法が想定していない方法で税負担を減らすあるいは免れること)を行わないことを宣言して、それを統合報告書に記載している製薬会社の紹介があったことです。誰しもが税金を払わなくなれば、公共サービスが提供できなくなり、社会がサスティナブルではなくなります。私は現在、税務会計の職に就いており、税金・税制とサスティナビリティとの関連に関心があったため、大変参考になりました。また、櫻井様のユニリーバ研究発表のなかで、同社がサスティナビリティへの取り組みを、サスティナビリティに関する問題の未然防止対策として捉えているという点が印象に残りました。このような視点は、日本の社会実業家といわれる渋沢栄一、武藤山治、大原孫三郎らにも通じるものであると理解することができて、大変参考になりました。
今後も、鎌倉サスティナビリティ研究所での学びを続けていきたいと思います。
粕谷秀幸(税理士法人勤務)