第4回 Sustainability × 環境 講師:足達英一郎様 (日本総研 創発戦略センター理事 )

灼熱の夏が遠い昔のような肌寒い日曜日。鎌倉商工会議所は熱気に満ちていました。日本銀行の泉晋様と日本総研の足達英一郎様そろい踏みの講座です。

先ずは泉様から「ESG金融の普及に向けて」の講話。気候変動リスクは小さく見積もっても2.5兆米ドルに及び、火災保険の参考純率も見直されたといったショッキングな事実が明かされました。パリ協定が平均気温を2度下げることを目標に置く背景には、閾値を超えると不可逆的な不確実ゾーンに突入してしまう懸念があるためとの説明には背中が凍りつきました。各国が気候変動に危機感を寄せる中、オーストラリアの金融庁はそれを金融リスクとして捉えて早々に自国の政策にビルトインしていると聞き、彼我の差を痛感しました。

パリ協定に合わせて2015年には気候変動の財務的インパクトを開示するTCFDがスタートしました。世界の中央銀行が加盟しているのは、関心の高まりの証左であるとのコメントは納得感があります。対応が加速しつつあり、日本でも省庁間でバラバラであった見方から政策のハーモナイゼーションに移行している、との泉様のコメントは政策を作る側に近い立場だけに印象的でした。

続いての足達様からの講話は、「日本企業がSDGs達成に真に貢献するためには、何を変えなければならないか」と題するもの。SDGs達成に向け経団連が大号令を発するも担当者は「スタートが切れない」、「煮詰まらない」、「動けない」といった悩みを抱えている実態を指摘されました。現場との乖離が浮き彫りになりました。「脱炭素」や「SDGs」といった言葉に「ワクワクする」という海外勢をよそに、日本ではそれらの言葉に違和感を覚える人が多いとの指摘には寂しく頷いたものです。

日本ではプラスチックのリサイクル率が80%と最高レベルもあるも、その半分はサーマルリサイクル(燃料として燃やすだけ)のため、欧州ではリサイクルとは認められづらいそうです。欧州のプラスチックメーカーは、再生する仕組みや再生する工場も含めてパッケージで途上国に売り込もうとの意図も透けて見えることから、欧州は規格作りにしたたかとの評価がありました。とはいえ、欧州企業のサステナビリティへの取組みは先鋭的であるのは間違いなく、自社が直面するジレンマまでも開示する企業(オランダのABNアムロ銀行など)もあるとの説明には驚きました。「CSRとはステークホルダーに鍛えられる経営を選択すること」との締め括りは名言だと唸りました。豪華二本立てにサステナビリティへの関心が深まった一日となりました。


櫻井功男 (食品メーカー勤務)

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