2018年基礎講座:第6回 最終プレゼン

一気に気温も下がってきて、冬らしくなってきました。今年の冬は例年に比べて暖かかったせいか、平年並みになったと言われても、一気に寒くなると外出が辛いものです。早いもので、夏に始まった研究所の第0期も今日が最後となり、半年間に亘る活動が終わるのは名残惜しいものです。今日のAgendaは、4班に分かれて調査してきた企業の統合報告書についての発表と、インパクト投資に関して、株式会社ソーシャルインパクト・リサーチの熊澤代表からのレクチャーでした。

 

調査対象の企業は味の素、オムロン、コマツ、AGC(旧旭硝子)というそれぞれ内容の濃い統合報告書を作成している企業だけあって、1か月半という期間での調査は中々大変でした。統合報告書もただ漫然と読むのではなく、投資家、従業員、競合他社、NGO/NPO、顧客、地域コミュニティといった異なるステークホルダーの視点からそれぞれ分析すること、各企業のホームページや投資家向け公開資料やプレスリリースなどの様々な媒体を通じた発信情報などを併せて分析することにより、各企業の取り組みをより深く理解することができたかと思います。また、報告書単体を切り取るのではなく、過去数年分の発信情報や同業他社の統合報告書などとも比較検討することにより、ESGへの取り組みに関する業界での立ち位置や、社会からの要請の変化やその対応なども感じ取ることができ、非常に有意義なグループワークでした。

 

今回は調査対象だったオムロンの、まさに統合報告書を作成された方々がスペシャルゲストとして参加してくださり、読み手だけでなく、作り手の立場からのコメントもあり、とても活発な議論がなされました。事前予告なしでのゲスト参加だったこともあり、発表されたグループの方々は大変だったかと思いますが、作り手の苦労話や意図を伺うことができたことはとても良かったです。その他の各グループの発表も広範且つ鋭い洞察に基づいており、それに加えて活発な質疑応答のおかげで、各社のESGに対する姿勢をとてもよく理解することができました。私が担当した企業の報告書においては、開示情報のレベルがそれほど高くないと感じたものの、意図的に過剰な情報開示を避けているとのコメントもあり、ESGへの取り組みだけでなく、ステークホルダーとのコミュニケーションの難しさも感じました。

 

後半は、経済的な利潤の追求だけでなく、社会的課題の解決に取り組む企業への投資である、インパクト投資に関するレクチャーでした。財務情報とは異なり、指標化が難しい社会的課題への取り組み状況及びそのパフォーマンスの評価に関する知見を熊澤様から共有いただきました。以前から財務パフォーマンスとESGの両立は非常に難しいのではないか?と思ってはいたものの、データに基づく解説は非常にわかりやすく納得感が得られました。基本的には財務とESGにはトレードオフがあること、だからこそこれらを両立するためには大きなイノベーションが必要であること。また当然のことながらESGの活動においても重要なものとそうでないものが混在しており、その見極めがなおざりになると財務パフォーマンスの低下につながることなどもデータで示していただきました。その他にも企業に身を置く立場としては、耳の痛いお話が多かったものの、まだまだ改善する余地が大きいということも感じましたし、多くの改善策を提案いただきました。今回の指摘を日々の仕事活かしていこうと考えされられるひと時でした。

 

叶内 正明(製薬会社勤務)

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