【動画】CFS_4.4_Business perspective
■単語説明
環境損益計算(EP&L)・・・企業活動における環境負荷を貨幣価値に換算したもの。
ソーシャルコストオブカーボン(CO2の社会的費用)・・・各経済主体の行動によって、大気汚染や交通渋滞など、経済にとってマイナスの要因(外部不経済)が生まれ、これによって社会が負担する費用のこと。
オープンソース化・・・商用、非商用の目的を問わず、個人や団体が利用、修正、頒布することができる資料やソフトウェアをつくること。
自然資本プロトコル・・・自然資本連合(Natural Capital Coalition)は、企業向けの自然資本評価の世界共通の枠組みとして開発したプロトコル(英語名:Natural Capital Protocol)。
プラネタリー・バウンダリー・・・別名:地球の限界、惑星限界。人類の活動がある閾値または転換点を通過してしまった後には取り返しがつかない「不可逆的かつ急激な環境変化」の危険性があるものを定義する地球システムにおけるフレームワークの中心的概念。
ビジネスの視点
デザインの決定から環境への影響を理解するにはどうすればよいのでしょうか?このビデオと下記のファクトシートでは、ケリング社のサステナビリティ・オペレーション・ディレクターであるマイケル・ボイトラーが、環境損益計算(EP&L)を指標にして、デザインと生産の意思決定を行う方法を説明しています。
EP&Lとは?
ケリングは、アプリとしてダウンロードできる、環境損益計算(Environmental Profit & Loss、EP&L)と呼ばれる革新的な測定ツールを開発しました。これは、目に見えないビジネスの影響を可視化し、定量化し、比較を可能にし、企業や個人が環境のために生み出すコストと利益を金銭的な価値で測定し、よりサステナブルなビジネス上の意思決定を行うことを可能にします。EP&Lは、サプライチェーン全体にわたる事業の環境影響を評価するものです。影響の規模を金額で明らかにすることで、従来の事業コストと合わせて環境への影響を考慮し、持続可能性を経営上の意思決定の核心に据えることが可能になります。これにより、企業がよりサステナブルで思慮深い意思決定を行うための5つのポジティブな領域ができます。
Kering
1. 洞察力の向上:最も重要な影響とその原動力となっているものについての理解
影響の負荷とその推進要因を理解することで、場所、材料、プロセス、製品、技術の振替えを検討し、よりよく問題に対処する事業を実施することが可能になります。
2. より良い方針:リスクと機会の理解
リスクと機会を理解することは、ビジネスが課題に対応するための十分な準備をすることを意味します。ケリングでは、幅広い原材料の改良を支援するために、ガイドライン、方針、計測可能な目標を作成しています。
3. より良い関係:サプライヤーとの強い絆
ケリングは、製品の組み立てから原材料の生産者に至るまで、5大陸にまたがる1,000社以上の主要サプライヤーを対象に調査を行いました。環境問題を管理するために彼らと一緒に働くことで、彼らとの関係はさらに強固なものになりました。
4. 透明性の向上:利害関係者との信頼関係の構築
ケリングでは、EP&Lによって利害関係者との対話を行い、学びを共有し、優先事項についての共通理解を深めることができました。また、サプライヤーが改善やイノベーションの機会を特定するのにも役立っています。
5. パフォーマンスの向上:変化への対応と進捗状況の評価
問題をシンプルで透明性のある方法で提示することで、自社グループ内の理解が深まりました。これにより、事業のある分野で行われたことが、他の分野にどのように大きな影響を及ぼすかが示されます。そして、ケリングは、原材料の品質や入手可能性の変動など、サプライチェーンの変化の要因に対応することができます。また、EP&Lは、環境プロジェクトや投資のパフォーマンスを評価するための明確な裏付けにもなっています。
■ディスカッションの質問
環境に有害な製品を製造・販売しているかどうかをどのようにして知ることができますか?また、環境に有害な製品を製造・販売していることが分かった場合、その環境への影響を減らすためにどのような行動をあなたは取りますか?
© University of the Arts London 2018
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